Spinach Forest

テック業界昨今雑感

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Silicon Valley’s Dream Tech Job Is Disappearing - The New York Times

It’s the shut up and grind era, workers said.

“Tech could still be best in terms of free lunch and a high salary,” Ms. Grey said, but “the level of fear has gone way up.”

“Google had such a glow about it then,” she said. “There was an institutionally approved playfulness to it all. I loved that.”

「昔は良かった」というのはダサいので言わないようにしているが、時代が変わったのは確かである。2010 年代は明らかに甘やかされ過ぎだったので、fairness とかの観点から社会全体としてアレが良かったとは思えない。一方でそういう甘やかされ時代にキャリアの全体を過ごしてしまった自分みたいな spoiled worker は、日本でいうとバブル世代みたいなダメさ(甘え、根性のなさ)を植え付けられている傾向はあるだろうとも思う。インターネットの近くでブラブラしてなかったら就職氷河期ですよわたくし。完全に運。

Apple made a 24k gold and glass statue for Donald Trump | The Verge

CEO Tim Cook presented a gift to President Donald Trump: a “unique” piece of glass from iPhone glass manufacturer Corning that’s set in a 24-karat gold base.

Apple 社長が大統領に純金の飾りを贈呈したニュースに Apple Fanboy の Marco Arment が罵り声を上げていたを見て、そういえば今年初頭、 big tech が一社の例外もなく現政権に kiss-the-ass してるのは本当にダサくてがっかりしたのを思い出した。2022 のレイオフといい去年今年のデータセンターへ投資といい、びっくりするほど横並び。イノベーションも何もありゃしない。

そんななか Apple はレイオフは控えめで Apple Car プロジェクト打ち切りに伴いちょっとクビにしたくらいだったので自分は評価を改めていたが kiss-the-ass は避けられなかったのだねー。ここで踏みとどまるとブランド評価、リベラルユーザーからの支持とかは爆上げだったんじゃないの?

・・・と思いたいところだが、大統領は「中国じゃなくてアメリカで iPhone 作れ」といっているので、アメリカ国民的にはそれに歯向かうのが特別好感とは限らないのかもしれない。大統領、やり方が最悪なのはさておくと、ナショナリズムには訴えられているんのだよね。外国人である我々にはまったく響かないわけだが。

Paradigm Shifts and the Winner’s Curse – Stratechery by Ben Thompson

 Larry Page and Sergey Brin famously weren’t particularly interested in business or in running a company; they just wanted to do cool things with computers in a college-like environment like they had at Stanford. That the company, nearly thirty years later, is still doing cool things with computers in a college-like environment may be maddening to analysts like me who want clarity and efficiency; it also may be the key to not just surviving but winning across multiple paradigms.

Ben Thompson が「Google は戦略性はまったく感じないが別にそれでよかったのかもな・・・」と内省しており、思わず苦笑してしまった。

エーアイの後追いが比較的うまく行っているのも TPU への超先行投資や DeepMind の買収, 野放し Brain 部門 (transformer 発祥の地)など、前社長時代のクールファクター支出が巡り巡って実を結んでいるのであって、今の社長はそういう謎の無駄遣いは始めていない。だから仮にエーアイの波を乗り切れてもそのあとはどうかな。

根拠不明な弾薬庫があり、不思議な力でそれらの星が揃う。それが戦略なき Google の奇跡だったと思うのだよね。ブラウザを作り始めたらなぜか社内に速いインタープリタを作りたい言語処理系専門家がヒマを持て余していたので V8 できちゃいました、ネットワークスタック高速化しようとしたらなぜか CDN 企業の元 CTO がブラウザチームで雑用してたので QUIC できちゃいました、スマホのカメラ画質を上げたいと思ったらコケた AR グラスのカメラ技術研究者が使いみち探してました、みたいな。音声認識モデル用のチップ作ってたら今になって GPU 買わずに済みました、も同じ。

自分は前社長のことを一ミリも評価していなかったが、今振り返るとクールファクターへの臭覚というかコンピュータサイエンスへの純粋な好奇心というか、そういうテックへの無邪気な前向きさの残滓は世知辛い現世にいくらかの希望を残してくれた気がする。その残り香が誘う白昼夢のおかげで自分もなんとか日々をやり過ごせている。そこには再現性も持続性も解釈可能性もないけれど、それが Google という現象だった・・・んじゃないのかな。