マイクロ残業
子供ができてからずっと、九時五時で働いている。子はもう小学二年生なので、もう 7 年以上そんなくらしをしている計算。
九時五時で働くと仕事ははかどらない。子供が生まれる前に長時間働いていたときよりは集中して働いていると思うが、それにしてもはかどらない。COVID 期をまたいでなおさら捗らなくなった。捗らないのには慣れてしまったけれど、もうちょっとなんとかならないとたまに思う。今日もそんな気分なので、なんか書いてみる。
自宅残業 (ダメだった)
素朴なアイデアとして、子が寝たあとに仕事をする方法がある。自宅残業とでも呼ぼう。COVID WFH で自宅の労働環境が整備されて以降、より一般的になったのではなかろうか。
自分も何度か試したことがあるが、ダメだった。日々の生活が「仕事してメシくって寝る」だけになってしまい、あっという間に精神衛生が損なわれてしまう。楽しいコード仕事に限定することで精神衛生低下の速度を和らげることができるとはいえ、会社のメールとかが目に入るとそれだけでストレス。
自宅残業は家というプライベートな空間を仕事で汚染してしまう。だから会社で長く働く伝統的な残業よりある面ではたちが悪い。仕事をデタッチできない。
自宅早朝勤務 (ダメだった)
夜ではなく朝早起きして仕事する。
結論: しねーわ。仕事のために早起きはできなかった。デタッチどうこう以前に実施が難しい。早起きするにはムチでなくアメが必要。
自宅予習(ダメだった)
直接の仕事はさておき、仕事で使うツール、ライブラリ、インフラその他の社内テクノロジについて調査・勉強するのはどうかと試したが、これも続かなかった。
世の中オープンソースで素敵なものが色々あるのに、なんで会社内製で潰しのきかないスタックに時間を使わなければいけないのか・・・そう考えて盛り上がらない。業務時間中には起きない感情だが、自宅にいると他の楽しい活動と比べてしまうらしい。
仕事日記(まあまあ)
会社アカウントのブラウザや VM など仕事の環境に触れるとストレスや意識の汚染がおこるので、それはやめたい。そうした直接の接触なしに何らかの「仕事」はできないか。
そこで「仕事日記」を書いてみる。仕事日記は会社の環境にアクセスせず手元の PC で書く。
どういう問題を扱っていて、どんな作業をして明日は何をやるのか。そんなことを書く。実際のデータや環境と切り離されているおかげで、自然と一歩さがって考え事ができる。職場と違って周りの視線がないのも良い。考え事をするときは、問題から少し距離があったほうが良い。個人の PC で書く仕事日記には、そんな良さがある。悪くない。
機密情報が多いと問題かもしれないが、自分の日々の細事には大した機密は含まれていないし、機密になる具体的なデータはどのみち覚えてない。
継続には規律が求められる。個人の PC, インターネットをブラブラして時間を溶かしがち。あと、これは仕事日記に限らないけれど、夜は眠い。子供が寝たあとに自分もすぐ寝てしまうとダメ。仮に翌朝早起きしても、睡眠を挟むと仕事のニュアンスは頭から消えてしまう。睡眠で気分が一新されるのは素晴らしいんだけど、一新するまえに一仕事しないといけない。
自分は規律が足らず継続できていないが、やってる間は使った時間のもとはとれる感じがした。
思案通勤 (まあまあ)
仕事日記のバリエーションで、通勤中に考え事をする。交通手段にもよるが、通勤をしている人にとって悪くない。自分は往路を走り、復路を歩きで通勤しているので、復路に考え事をすることがある。
ただ考え事を記録する手段を用意しておかないと、考えたことを忘れてしまって無駄になる。あとうっかり podcast などを聞いてしまうとそれだけで通勤が終わってしまい、考え事にあてる時間がなくなる。ここでも規律が必要。
あと仕事時間が終わった瞬間というのは割と疲れているので、考え事をする元気が残っていないことも多い。疲れが回復している就寝前などと比べるとやる気の残業で不利。
思案昼食 (ダメだった)
ランチの時間に考え事をする。表面的には通勤中に考え事をするのと大差なさそうだけど、ぱっとしなかった。ランチの休憩と気分転換に当てたほうが良いのだろう。そのあとも長く働くので。
マイクロ労働
こうしてみると、就寝前の仕事日記の習慣化が一番見込みがありそうに思える。
一歩さがり、自分が何を求めているのか考える。たぶん、会社の外で少しだけ時間を使って、何らかの進捗を出すアプローチを欲しているのだろうな。業務時間外でのマイクロ労働。仕事日記は、そうしたマイクロ労働の一つと言える。
世の中のマイクロ労働としては、電話機をつかったメールやチャットの積読処理は広く普及しているように見える。ただ電話での inbox scanning は時間はともかくアテンションの消費が多いわりに大して生産的とも思えないので、個人的にはやる気が起きない。
仕事日記はそれと比べるとマシ。ただし、仕事を進める準備ではありえても実際の仕事は進まない。
たとえば何らかのデザインや計画を考えるような、もう一歩踏み込んだ頭脳活動をうまくできないだろうか。ただし職場のデータにアクセスしないという一線は守りたい。
先送りしている考え事のリストを機密に触れない範囲で手元の電話などにメモし、そうした(文字通り)ポータブルなコンテクストを中心にマイクロ労働を進めることはできるかもしれない。
あと、こうした課外マイクロ労働のコンテクストを日を跨いで持ち越す工夫をすると、継続に必要な意志力のバーを下げることができないだろうか。たとえば Notion に専用の workspace をつくるとか、そういう方向で。