Spinach Forest

#AMERICANMOMENTS

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Speaking Speed

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隣のチームにいるフランス人のおっさん M と会話をすると英語が(比較的)うまく話せる。一方で同僚のアメリカ人 P 相手だとはかどらない。あるとき理由に気づいた。M は喋る速度が遅い。一方 P は速い。そして自分は話す速度が相手に引きづられる。つまり M と話すときはゆっくりはなせるのだが P 相手だと早口になる。しかし P のような早口で話せるほど脳も舌もスループットがないのでしどろもどろになる。うーむ。どうすれば相手に引きづられず速度を低く保てるのだろうか・・・。

そしてこの現象は日本語を話すときも起きているのかなあ。Podcast, あまりに頻繁に舌がもつれるので話す速度を下げたいのだけれど、気がつくと早くなってるのだよなー・・・。

 

Real ID

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REAL ID Act

カルフォルニアの免許は連邦ID互換ではなかったためもうすぐヒコーキ(国内線)に乗る時に免許の他にパスポートが必要だよ、という警告があった。そして免許更新の再に少し手間を書ければ連邦互換の "REAL ID" というやつを作れるよ、という。この REAL ID を諦めればオンラインで免許が作れる。REAL ID のためには予約の上 DMV に行って手続きをしないといけない。別に Non-REAL ID でよいよねえ、とゆこっぷ(おくさん)に言ったら、いやふつうに考えて REAL ID でしょ、という。めんどくささへの耐性が一桁くらい違う感じがする。おかげでたすかっているのだが・・・。

で、仕方なくひと手間かけて取得した REAL ID が届いた。有効期限も 5 年くらいある。めでたい。予約していったおかげか、手続き自体はまあまあ速やかだった。ペーパーワークは電子化され、据え置きのPCから入力するシステムが導入されていた。

Prosper

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給料の話。なんか盛り上がっているのを見かけたので自分の視線を記録しておく。基本的には自分の勤務先における自分の雇用の話だけれど、角を立てないため一般的風に書く。

アメリカテック大企業の給料が高いのは、なにより景気がいいからだと思う。各社売上利益株価とか大変な感じじゃん。複数の景気のいい会社が競い合っているおかげで給料が釣り上がる。

この地の生活費が高いのはそうした住人の給料がたかいからで、逆ではない。実際テックでない企業や景気の良くない会社の給料はあがっておらず社会問題になっている。けれど景気のいいテック大企業に勤めている分には割と大丈夫。


給料のうち株(RSU)が占める割合は高い。自分だと 1/3 くらいだろうか。なので株価が上がると給料が増える。ここ五年で、FB の株価は 5 倍、AMZN は 4 倍くらいになってる。給料の 1/3 の部分がこんな勢いで増えてやってくるので、ますます給料が高くなる。自分の勤務先もそれなりに株価が上がっており恩恵を受けているけれど、この二社を前にすると霞んでしまうね。

RSU が給料に占める割合は年々増えている。昔はもうちょっと慎ましかった。自分のここ数年の給与アップは殆どが RSU によるもの。基本給は全然増えてない。出世してないから基本給がふえないのは当然で、むしろ RSU が増えているのがナゾ。近隣競合と給与競争した結果なのだろう。なぜ現金でなく RSU なのか。よく知らないけど、きっと会社の finance 的な都合なのでしょう。

というかんじで景気の良さは二つの形で給与を釣り上げている: 株の capital gain, 競合間での賃上げ合戦。そして根本にはそれを賄える売上がある。


景気がいいゆえの高給だから、景気が悪くなれば給料は減る。冬の時代に備えるべく基本給だけで暮らせるくらいにしておきたい。でも第一子の生まれた昨年はやや使いすぎ、この基準を満たせなかった。今年は引き締めて行かねばなあ。

ただこれはヒラで妻子ありかつ節約してない自分の話で、ヒラより偉かったり独身だったりすれば問題ない。でも自分は節約しないといけない。ボンクラの悲しさよ。

景気悪化で減俸どころかクビになり、そのあと安い基本給の仕事しかみつからなかったらどうするか。わらないけど、たぶん日本に撤収することになろう。東京なら物価が安い上に言葉が通じるし知り合いもいる。資産を食いつぶしつつこの地にしがみつくよりはマシでしょう。あまり来てほしい未来ではないけれど、それなりに likely だとも思っている。栄枯盛衰がこの地の常。

ここで「アメリカで頑張り続ける」と思えないあたり、我ながらコミットメントが低くて情けない。ただ同じ立場ならアメリカ人でも生活費の安い田舎に帰る人は多そう。

まあこの手の厳しい事態にならないよう、プログラマとして精進したいもんです。


若くて独身ならアメリカテック大企業勤めは金銭的にすごく優れた選択肢に思える。新卒で景気のいい会社に入り無駄遣いせず10年くらい働いて資産をつくったら、日本に帰れば物価ギャップのおかげで金の心配なしに暮らせる。5 年でもリスクのバッファに十分なくらいは貯まる。

これは自分を含む大半の人間には縁のない選択肢だけれど、東大生みたいなエリートなら普通に狙える。そういう人たちが NTT の研究所とかの代わりに Facebook などを目指すようになったら面白いのにな、と他人事ながら思う。

アメリカが気に入ってとどまる人も多いだろうけれど、愛国心その他の理由でしばらくして日本に戻る人もいよう。そういう出戻り/凱旋の人々が現地で稼いだ経験と資金をもとに面白いことをすれば刺激になるというもの。インドとか中国とかそんなかんじじゃん。

妻子のあるおっさんにとって(金銭的に)良い選択肢か。なんだかんだで景気がいい限り割と良いとは思う。ただボンクラだと失業の恐怖はまあまあストレス。そこは金銭外の動機、憧れとか勢いとか、で補っている。

ま、ボンクラでないのが一番いいのだろうけれど。


追記: 一年後に GAFA 転職の話題がえらく盛り上がって怯んだ。

Uber POOL Express

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Chiropractor office への通院に Uber を使っている。社長かわったしいいでしょ、ということで。

Express, 安い。POOL が X の 2/3 くらいで、そのまた 2/3 くらい。

客が pickup location までちょっとだけ歩かされるぶん安いという触れ込みだったけど、実際は pooling のアルゴリズムというかパラメタも少し違う気がする。少し遠回りしてでも相乗りしようとする。なのでより時間がかかる傾向。普段ならいいけど、座っている時間が長いほど腰に響くので通院目的には悩ましい。

もっとも安くつかわれる driver からすれば稼働率を上げてもらわないと困るだろう。POOL だと実際には相乗りにならないケースが結構あるけど、Express でそのケースは今のところ一回しかない。

システムを game する driver もいる。カーナビを無視してハイウェイ入口までわざと少し遠回りをし、additional rider が現れるのを待つ。賢い。が、腰が痛い。君にチップは払わん。そのぶん Express で相乗りが発生しなかった気の毒な driver には少し多めに tip しておく。


はーしかし通院は金がかかるし腰は痛いし、近くの chiropractor に鞍替えしたいなあ。長引かないことを期待して通い続けているけれども。まあ、少しは良くなってきましたです。

The Double Twist

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典型的な西海岸 tech people は概ねリベラル(left)だが、一つ例外があると言われている。それは regulation に対する態度である。つまり innovation を推し進めるには regulation はない方が良いという態度。実際インターネット上のサービスというは概して regulation がゆるい世界で運営されていて、そのおかげで無茶が出来た面はあると思う。

おかげでいざ internet services には何らかの regulation が必要という世論が高まった時、基本的にお友達がみな左寄りなせいでいまいち擁護してもらえない。つまり、いやいやそんなことしたら innovation がとまっちゃうでしょもっと market dynamics を信じてあげようよ、などと助け舟を出してくれる人がいない。なぜならそういう考えの人は普段 tech liberals を敵視している right な人々だから。

そんな目で見る Net Neutrality の議論はすごいねじれていて面白い。Net Neutrality の法案というのは要するに regulation である。Regulation はよくないという tech people がなぜか Net Neutrality についてだけは regulation の肩を持っている。(なお Net Neutrality という語を発明したとされる Tim Wu は、最新の著作である The Attention Merchant を読むかぎり tech companies に対する regulation には前向きだと思う。そして逆に tech pundits の中にも repeal された net neutrality regulation に反対する人もいる。なので自分のこの議論は割と雑な話ではある。)

Liberal but Anti-Regulation but Pro-Net Neutrality という stereotypical な tech people view は、そんなかんじで割とねじれている。まあ liberals が全ての regulation の肩を持つ必要もなければ conservatives が全ての regulation に楯突く言われもないので別にねじれているから悪いということはないのだけれど、power dynamics という点では不利に思える。

Tim Wu にせよ Ajit Pai にせよ、こうした舵取りや運動を先導する人々はそれなりに一貫した洞察や意見を持っていると思う。だからそれほどねじれてはいない。一方で上に書いたような stereotypical techie 的なねじれた態度はどうして生まれるのだろうか。そんな tech mob の一人として考えてみると... 究極的には自分たちに都合の悪いものはイヤということなのだろうなあ。そして Comcast や AT&T のような "土管屋" は「自分たち」にカウントしていない。これはこれで一つの態度だとは思うけれど、そんな tribalism に従っていてたらスタート地点の異なる人々と合意に至ることはない気がする。

自分は根が communist なので、一貫性という点から tech companies も net neutrality も何らかの形で規制されるべきなのだろうなと思っている。しょうじき政府が tech companies を妥当な形で規制できるとはまったく思わないし、その結果 innovation はいくらか(もしかしたらたくさん)損なわれてしまうだろう。勤務先も傾くかもしれない。でもそれが自分と概ねの意見を共にする人々すなわち liberals が望むことなら仕方ないのではないか。なんにしろただ regulation するなと跳ねつけるのではなく, こんな regulation ならアリみたいな議論をする方が現実的に思える。

規制するなと表立って叫ぶ tech companies (BigCo.) の representative というのはさすがにあまり目にしない。みっともないし説得力もないとわかっているのだろう。

ベイエリアに住むイノベーションや独立自治大好き系の人々の中には、キリスト教を信じておらず銃も持ってない以外はだいたい conservative みたいな人は案外多い印象がある。というかよその国から来たらキリスト教なんて信じてないだろうし銃に思い入れもない、一方でたとえば日本土着の communism はうっとおしくて嫌い、みたいな人っていそうじゃん?これはすごく Silicon Valley ぽい思想だと思う一方、左右断絶しまくりな昨今のアメリカではなかなか孤立無縁な谷間の住人という感じもする。そのくらいで挫けるような人々ではないのだろうけれど。

Link: NYTimes: Is Anyone Good Enough for an H-1B Visa?

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Is Anyone Good Enough for an H-1B Visa? https://nyti.ms/2hYFmmS

コメント欄、左よりな NYTimes だというのに外人こっち来んな勢が多くて辛いがつい読んでしまう。自分は US で教育を受けたエリート勢ではなく企業に輸入された労働力税なので特に。

自分の勤務先は、あたりまえだけど立場による給与格差はない。だからアウトソーシング会社の人々のようなあからさまな攻撃対象ではない。でもまあ、言語バリアがあって mediocre じゃね、といわれると全く反論できない。それに自分達外国人によって需給のバランスが崩れているのは、アウトソーシング企業を差し引いても事実だと思うし。プログラマはコモディティじゃないとはいえ、需要が増えれば価格は下がるからね。

自分は、ほんとにアメリカ国内の雇用を守りたいなら外国人の給料には課税すべきだと思っている。関税。ビザの数を cap するのは雑すぎる。関税がそうであるように、その税率は出身国ごとにセットすることになるだろう。そのバーがあってもなお雇いたい人材は雇えば良い。

給料が余計に課税されてもなお自分はここで働きたいか。程度にもよるけど、ノーかもしれないね。なので個人的に嬉しい制度ではない。その方が彼らの願いをより的確に捉えられるだろうというだけで。

アメリカに限らずあたりを見回してそういう「外国人税」が存在しないのは、国際的にそういうことはしない約束にでもなっているのかねえ。

Far Away

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会社で朝食に卵を食べた。ここ半年くらいはシリアルを食べていたのだけれど、オフィスが朝食つきの食堂そばに引っ越したおかげで卵にアクセスできるようになった。

むかしむかし初めて出張でやってきたときも、同じ食堂で卵を食べたと思い出す。そのときは卵以外のおかずも全部とり、パンだって何枚も食べ、満腹で苦しい朝を毎日繰り返していた。異国の地に立つ奇妙な興奮があった。東京オフィスも朝食はでたのだけれど。というかそっちの方が美味しかったんだけど。

その卵が今は日常のつづきになっている。たまにはタンパク質もとるかみたいな。ふとしたとき随分遠くに来たと感慨がある。そんな日はいつもよりがんばって働く気になる。

Fryer Pot

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結局 Wok Pan への不安は払拭できず揚げ鍋を買った。

揚げ鍋買ったんだよねーという話を同僚にしたがイマイチ話が噛み合わない。なぜかとおもったら自分が pot for fries と言っていたからであった。 Fries = potato fries なのをつい忘れてしまう。Fried stuff と言ったら通じた。そして揚げ鍋は fryer pot か。そういえば揚げる道具は fryer だもんな。自分が買ったやつの商品名は tempura pot になっているが。

それにしても fries が自動的に芋の揚げ物ってどうなの。アメリカの揚げ文化はいまいち信用できん。おまえら鶏と芋しか揚げないんでしょみたいな。揚げ道具に関するオンラインの記事を読む限り日本料理の方が揚げ力は高い気がする。たとえば fryer pot には漏れなく basket が付いてくるが、それ菜箸でよくね?Basket が有効な局面は理解できるけれど、所要油量が増える、かさばるなど home use には overkill なきがする。まあやつらは箸が使えないから仕方ないか。

U.S. Passport

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ようやく子供のパスポートが届いた。

最初に書類を提出してから一ヶ月たった頃、おまえらの出した書類は親(我々)の身元を示すのに十分でないから追加で書類をだせと手紙がきた。将来同じようなトラブルがあった人が検索したときのために verbatim に書いておくと: "Please submit photocopies of file (5) or more personal documents, which are five (5) years or older." ... しかもこれらの書類には signature か photo, 更に issue date が入ってないといけないという。そんなものないんですけど。

5 年前なんて US にいないし、日本で発行された書類に署名なんて入ってない。てかそんなに沢山身分証明証もってない。仕方ないので条件を満たそうが満たすまいが構わず日米免許証住民票(翻訳つき)グリーンカードビザパスポートなどなどありったけの身元証明書類のコピーをとり、条件をみたす書類がない理由をしたためた手紙と一緒に提出した。で、また一ヶ月くらい待ってようやくできた次第。はーひやひやしたよまったく・・・。

なぜこんな仕打ちを受けたのだろうか。一説によれば、カルフォルニアの driver's license は例外的に身分証としての効力がないらしい(※要出典)ので、身分証明目的では他の書類を使うべきだった、のかもしれない。自分の予想は IRS の audit とおなじで確率的な bad luck だったというもの。

オンラインで調べても似たようなトラブルにあった日本人を発見できなかったし身の回りでも聞いたことのないトラブルだったので、参考のために記録しておく。


ところでパスポート申込書の最初の提出もまあまあ大変だった。USPS (郵便局) で申し込めることになっているのだけれど、近隣の USPS は予約で一杯。申し込みから二ヶ月くらい待たされる。

ゆこっぷ(おくさん)が調べたところ一部の USPS office は予約を受け付けず当日の申し込みを先着順でさばくというのでその一部の office に行ってみると、本日分の受付は終了しましたという。どうも毎日早朝に予約をする仕組みらしい。仕方ないので翌朝出直して二時間くらい並び、予約をとる。

予約をとっても自分のターンがきたタイミングでその場にいないと無視されてしまう仕組み。しかもそのターンの正確なタイミングはわからない。仕方ないので予想時刻のレンジ(申し込みから更に 3 時間後)を教わり、妻子は一旦家に帰し、その後は 最寄りのコーヒー屋まで45 分くらいかけて歩く(え!?)など周りになにもないど田舎の USPS office のそばでヒマをつぶし、時間がちかづいたタイミングでふたたび妻子と合流してまたしばらく待ち、申し込みを済ませた。なぜ妻子というか子が必要かというと本人の立ち会が必要だから。

自分は休暇中だったからなんとかなったけれど、この大変さは unbearable すぎ。どうなってるんだろうね。このあたりは異常に外国人比率が高い。米国人と比べ自分のような外国人の子供はまず確実にパスポートをつくる。そして citizenship をとった元外国人もパスポートをつくるだろう。だから人口に対して発行されるパスポートの数が多いのだろうな。そのせいで USPS の想定処理能力を超えているのか。想定してくれってかんじだが・・・。

なおそんな事情(?)を踏まえ、外国人の多い大企業であるところの勤務先には数ヶ月に一度出張パスポート受付サービスがやってくるのだった。

Attachment Parenting

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Attachment Parenting という子育ての流派があるらしい。名前から想像すると「子供はちゃんと可愛がりましょうね」みたいな曖昧な主張を想像するけれど実際はもっと具体的。ざっくりいうと 1. 子供は一日中だっこひもでだっこしましょう (Babywearing) 2. 子供がぐずったらすかさず乳をやりましょう, 子供が自分で決めるまで卒乳はやめましょう. 3. 子供と一緒に寝ましょう (co-sleeping). 割と強い主張で、共働きだと全然無理. Attachment Parenting を提唱したのは Dr. Sears という人が 1992 に出した本. ウェブで育児情報を検索するとよく askdrsears.com というサイトがひっかかるのだけれど, Attachment Parenting のひとだったのか… Dr. Sears そのひとについては 2012 年の TIME の記事が詳しい。

Attachment Parenting に対しては非科学的だとか母親が理不尽に大変といった批判がある. ざっと読んだ範囲だと Attachment parenting: the best way to raise a child – or maternal masochism? という The Guardian の記事が自分の感覚に一番近かった. 一方で How the Attachment-Parenting Debate Ignores Women of Color という The Daily Beast の記事は, 欧米以外だと attachment parenting 風子育てが普通な国はいっぱいあるのに今更ラベルをつけて良いだの悪いだの人の子育てのやりかたに口を挟まれるとむかつく、やりたいようにやらせろ、と African American の著者が主張している。まあ日本も co-sleeping が普通だよな。住宅事情のせいな気もするけど。

Attachment Parenting は「非直感的な」近代 US 子育てに対する反発だという見方もある。たとえば Sleep Training は広く知られたプラクティスだけれど、その流派の中には Extinction/Cry-it-out といって一旦子供を crib におろしたら泣いても朝までほっとけと主張する人もいる。(自分は sleep training に興味があったので代表的な本を一冊読んだ.) NYT Upshot のある記事は sleep training はどの方法もそれなりに効果があり今のところ害はみられないとしている。一方で Attachment parenting の信奉者は Extinction 系 sleep training を強く攻撃している。Upshot の記事のコメント欄にもそういう人たちがいっぱい。子育てにありがちなもめる話題の一つだとわかる。

自分は sleep training はまあまあ信じているけれども、一方で Attachment Parenting は Formula feeding への反発でもあるというから厄介。アメリカ、一世代前までは母乳より粉ミルクのほうが良いと信じられていて、母乳が主流になったのは割と最近(といっても 10-20 年とか)のことらしいからね。そういう意味で Attachment parenting は無闇にクラシックなわけではない。更に厄介なのは Attachment Parenting を包含する Natural Parenting という派閥があり、この人たちは vaccination にも反対しているらしい。たびたび目にする最近ワクチン接種率が下がっててやばいという話、まさかこんなところで繋がるとは。他人の子育ての方針にとやかくいいたくはないけれど、これはちょっとなあ。なお件の Dr. Sears はちゃんと vaccination していた...遅らせろともいってるらしい

あまりこの辺の議論に engage して消耗したくないと思いつつ、怖いもの見たさでつい色々読んでしまうのだった。

Brake Lights

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買い物の帰り、police に pull over され焦る。なにかと思ったら left brake light が切れていた。直せという旨の切符を切られる。切符初体験。世の中どうみても半損して色々動かなそうな車が走っているのをよくみかける。あいつらはいいのか?それともそうしたボロ車はずっとボロいわけではなく修理前なだけなのだろうか。なぞ。単に切符を切られ続けているのかもしれないが。

近所の車用品屋で bulb と wrench を買って交換、市の police departments に切符を持ち込み、修理したところをみせ署名をしてもらう。そのうち court から手紙が来るのでそれに切符をつけ返信するように、とのこと。あれ、切符を着られたときはその場で封筒を貰えると言われたのに・・・。ガイドを読むと別に手紙を待つ必要はなさそうだが、一方で宛先もわからん・・・。

なにしろこの面倒の発生が休暇中でよかった。

そして wrench のサイズを買い間違え、世の中の socket には SAE と Metrics 二種類の系統があると知る。SAE はインチ、Metrics は...名前の通り。自分たちは日本車所持につき Metric の wrench が必要。インチなんてアメリカしか使わねーんだよ!とひさびさの American moment.

追記

その後チケットやオンラインの指示にを読み解き police signature のはいった ticket を court に送ったのだが、それは完全に無視されて二ヶ月後の本日 (May, 5th) に金払えという手紙がきた。直した証拠があれば $25, なければ $197. 証拠の書類は送ってしまったのでもう手元にない。理不尽すぎる…が、他の選択肢はないのでおとなしく $197 支払い。

これはうかつ税なのか、学習料なのか・・・。Ticket を切った police のいうことは間違いで signature をくれた police の言うことが正しかったということだよなあ。なんとなく「待つ」という選択肢は問題を先送りしている気がしてなんとかアクションしたのが裏目に出た。次にチケット切られたらおとなしく court letter を待ちます。はー $197...

Self-Consciousness

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せっかく渡米三年たったしなんか書こうと思ったがいまいち書けない。それがなぜかを考える。いい歳なのにまだ自意識過剰なのだろう。

自分はベイエリアなどに住む一部プログラマたちの底抜けな楽観や強気さが苦手だ。この地はプログラマをやるにはたしかに結構いいとこだけど、心配事もある。国をまたぐのは大変な人には大変だから無闇に勧める気になれない。エリートのみなさまにはわからないでしょうけどね・・・などと卑屈な気分が頭をもたげる。

一方でシリコンバレー家賃高くて大変なんでしょ給料も額面だけのハッタリなんでしょ、みたいな斜に構えた声も勤務先を馬鹿にされているようで腹がたつ。おまえら企業が儲かってるってことがどういうことかわかってんのか、と高圧的に言い返したくなる。とはいえたかが平社員が給料で声を荒げるのもみっともない。いつまで景気がいいかもわからないし、それに格差の国で給料の話なんて一般化できないじゃん。

こういう bipolar な framing は他にも色々ある。乗るにせよ反るにせよ、それらにひっかかってつまらないステレオタイプに巻き込まれたくない。語られていないことも色々あるから、ほんとはそういう話ができたらいいのにと思う。たとえば外国で暮らす寂しさや不安、気楽さや高まりというのは、金銭的な話以上に日々の気分に影響していると思うのだけれど、あまり語られていないように見える。まあ逆に古典的でベタ過ぎるのかもしれないけれども。

自分は bay area advocate にも critic にもなりたくない。日々の暮らしをどう感じているかみたいな個人的な話がしたいだけだ。でも謎の自意識に邪魔されてうまく言えない。ベイエリア日本人なんて別に珍しいものでもないんだし、気にしなければいいんだけれど。

あるいは、自分はただ雑さに負けているのだろうか。人生楽しいこともあるし大変なこともある。それを三年分まとめて書こうとするから平滑化されてつまらなくなる。日々を少しずつ、小さな主語で書いていく丁寧さが必要なのかもしれない。

Fedex Sucks

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確定申告の季節。

FedEx には print and go というサービスがあり、メールで送った PDF などを店舗で印刷できる。のだが、サーバにつながらないとかでもう半月くらい機能不全。アホか。

Google Drive からファイルをダウンロードできる機能もある。店舗のプリンタ内蔵ブラウザに Google パスワードを入れるとか超絶セキュアじゃないのでやりたくないのだが背に腹はかえられず使おうとするも、その内蔵ブラウザがリロードを繰り返し auth できない。死ね。

はー・・・とおもいメニューを見ると Dropbox にも対応しているという。仕方なく PDF を Drive から Dropbox にコピーして再びログインを試みる・・・も二段階認証に対応してない。爆発しろ。(追記: 専用の one time password をメールのリンク経由で取得する必要があったらしい。)


はー。この書類、どう印刷したものか。一番合理的なのは USB メモリにコピーして FedEx に出直す、なのはわかっているのだが、このクソシステムの提供者にはもう 1¢ たりとも払いたくないという怒りがある。とりあえず会社のプリンタを拝借するかなあ。

長期的にはプリンタを買いたい気もするが、それはそれで敗北感がある。あんなでかいものを自宅に置きたくない。ペーパーワークのお供につかうモノクロだけの小型プリンタ, cloud print 対応、みたいなのが欲しい・・・。写真とか絶対自宅で印刷しないからねえ。

などと眺めていたら UPS でも印刷できるというので試している。ウェブサイトから PDF  をアップロードして会計を済ませ、店頭で受け取るらしい。人間が介入するのがちょっとやだなあ・・・。


もとを辿れば確定申告に紙が介入するのがそもそもむかつくという話もあるのだが、これは色々事情があって仕方ないのだった。

 

Election

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大統領選が終わった。感想などを書いてみる。

ベイエリアに住んでいる日本人はけっこう動揺しているのではないかと思う。自分たちの多くはビザや永住権で滞在しており、市民ではない。だから移民政策の影響を受ける。Trump 次期大統領の発言を真に受けるなら最悪国外退去や口座凍結もありうる。実際にそういうことが起こる確率は低いと思うけれども、万一起こると人生大打撃なので心配したくなる気持ちはわかる。今までそういう心配は皆無だった。ビザの期限切れはあるけれど、それは deportation とは違うからね。

政策上の不安のほかに、外国人差別の感情がおもったより根強いと思い知らされた薄寒さもある。ベイエリアなんてインド人と中国人が最大勢力みたいな地域。自分が差別される様をいまいち想像できない。でも Trump に投票したのはアメリカ人の約半数。そのすべてが差別主義者ではないにせよ、一方で敗れた Hillary 派の全てがリベラルというわけでもない。あわせて何割かは潜在的な差別主義者かもしれない。実際に racist として振る舞うのはそのまた数割なのだろうけれど。ただ差別される側としては人口の1割でも差別主義者がまじってたら十分イヤじゃん?

別の不安。自分のような大手テック企業社員は平均的アメリカ人の何倍も給料をもらっている。Sillicon Valley は Wall Street と違い、経済危機の際に公的資金に助けられたなどのわかりやすい粗がない。だからあからさまなバッシングは少ない。でも inequality があるのも事実。職に困っているアメリカ人が仕事を奪った外国人めと恨みたくなる気持ちも少しはわかる。人種差別だけでなく、こういう class division も感じずにはおれない。

といった事情から、自分やまわりの日本人は標準的アメリカ人および日本在住日本人よりも神経質になっているように見える。外国人という身分固有の面倒くささと言える。


新聞などでは Trump 躍進の理由として "less-educated/non-educated/working class white" の支持を挙げている。自分にはこれが一番のナゾ。Less-educated white, 高卒白人というのがどういう人たちなのか、まったくわからない。転勤で引っ越してきた身だと面識のあるアメリカ人はみな仕事の同僚。そして職場であるテック企業の製品開発部門に less-educated な人はいない。仮に正式な学位がなくても独習や業界経験で educated と区別がつかない人柄になっていると思う。

アメリカ生まれアメリカ育ちなら、その高卒白人とも何らかの形で接点があるのだろう。親戚がいるだとか、かつて less educated 地域に住んでたとか、メディアやサブカルチャーを通じて目にするとか。自分は一貫して大卒ばかりの会社でしか働いていない都市生活者だったけれど、日本の less educated な人々の姿なら少しは想像できる。人生を通じて何かしらは接点があったから。アメリカの less educated white はまったくわからん。たまに新聞記事を読むくらいじゃ足しにならない。

ベイエリアも二時間ほど車を走らせて郊外に向かえば Trump 支持の地域に入る。旅行なんかでそういう町に立ち寄ると、学位の有無はさておきたしかに白人が多い。というか Asian がいない。Latino もちょっと少ない。中華料理屋の客に一人も中国人がいなかったりする。そして油淋鶏だと思って頼んだメニューがチキンカツの甘いソースかけだったりする。この町の生活を自分はまったく想像できない。California は農業国だし、あたりには畑や牧草地も多い。たぶん農業か畜産業をやってるんだろうと推測はできる。でもそれ以上の想像ができない。ステレオタイプすらない。

自分の勤務先では、diversity への配慮から差別問題の理解を深めなさいねと推薦図書などを紹介したりする。その推薦図書は、たとえば黒人の思想家がマイノリティーとしての苦悩や怒りを綴った本だ。そういう本を読んでもいまいちピンとこなかった。そもそも差別をしている側、すなわち less-educated white について何もわかってなかったのがピンとこない理由の一つだなと今更ながら思い至る。理解しようとする順番が間違っていた。

どうにか身の危険を冒さずに less-educated white について知る方法はないかとおもっていたら、さっそく NYTimes が推薦図書リストを公開していた。一冊くらい読まねばなるまい。


国外脱出など。自分は今のところ特にそういう気はない。Muslim や undocumented immigrants のように激しく攻撃されている身の上だったり物事が思ったより悪くなったら考えた方がいいのかもしれないけれど。まだそんな気にはなれない。まあ本気で考えてる人はそんなにいないでしょう。さすがに。

わざわざ日本から引っ越してきた理由というのは人それぞれだろうけれど、大きく現実的な損得勘定と思想的なものの二つに分類してみたい。損得勘定は、たとえば給料がいいとか天気がいいとか。選挙の結果をうけ、アメリカで外人プログラマをやる利得の期待値は少し下がったように感じる(リスクが大きくなったから)。結果として損得勘定の見通しが黒から赤になる人は少しはいるかもしれない。

思想的なものというのは、シリコンバレーで働くぜ!的な理想や憧れみたいなもの。自分は昔からアメリカテック企業に憧れがあったし、その延長でシリコンバレー的な価値観を重んじている。そしてシリコンバレー的、というかアメリカのテック企業の価値観は、様々な形でアメリカリベラルの価値観や理想を体現したものだ。でかい会社だと多国籍でグローバリゼーションだからもうアメリカ関係ないでしょと思う人もいるかもしれない。でもグローバリゼーション自体がリベラルな価値の一部だし、多国籍に展開して何をしてるかといったらアメリカ的価値を売り込んでるわけじゃん。それで嫌われたりもしてるじゃん。

だから自分はシリコンバレーや巨大テック企業が国家を超えていくという一部の論調を信じていない。一部アメリカ人には自覚がないっぽいが、そこにある理想はどう見てもアメリカ的(アメリカのリベラル的)なものだ。アメリカ的過ぎてむかついたり疎外感を感じることもある。それでも全体としては、自分は同じ理想を信じている。国外脱出は、象徴的な意味で反進歩的な勢力に自分の理想を挫かれるように感じる。気に入らない。

などと自分の価値観を見直すきっかけになったのはよかった。

まあ理想だなんだとカッコつけてられないほど事態が悪くなったらさっさと日本に逃げ帰ってどこかの会社に泣きつき雇ってもらう所存だけれども、遠くの心配事はさっさと忘れて前に進む方が厚顔能天気でシリコンバレーっぽいし、良い意味でアメリカっぽいと思う。郷に入りては郷に従え。

Debates

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結局 Presidential Debates は三回とも観てしまった。一回目以降は時間の無駄だった気もするけれど、まあ四年に一回だからよしとしよう。

自分は debates というものがまったく好きではないことを自覚した。Debates は conversation ではない。相手ではなく聴衆に話しかけている。二人並べることに生産的な意味合いがない。二人並べておくと 半リアルタイムで相手を罵れるぶん盛り上がり、聴衆の気は引きやすいだろうというのはわかる。 こうした debates で poll が動くことも多いというけれど、こんな茶番で政局が決まってしまうのはちょっとやだね。

Presidential election debates のおかげで人々が選挙自体に関心を寄せる面はあるとも思う。あと本来なら特に聞きたいとも思わない対立候補の主張を強制的に聞かされるというのも、気分は悪いが視野が広がる、こともある。おおむねこいつはやっぱりダメなんじゃないかという確信を深めるだけだった気もするけれど・・・。

あわせて選挙関係のニュースもよく読むようになった。普段あまり気にしていないアメリカの事情やアメリカ人の関心がわかるのはよい。

たとえばしばしば話題でてくる coal miner. 炭坑のない国から来た身としてはほとんどファンタジーの中の存在だった。でも US だと消費電力源の 3-4 割が coal で、しかも 20 年くらい前は更に 2 割くらい多かった。これだけの coal を自国で掘っているなら、たしかに coal miner も沢山いるのだろう。そして単なるしがない肉体労働者かとおもいきや意外と稼いでいる。そんな稼げる仕事が政策の煽りでなくなったと感じていたら、取り返したいと思うのはわからなくもない。

銃にしても、しょうじき Second Amendment は自分には狂ってるとしか思えないが、アメリカ人からみたら憲法第9条も狂ってるんだろうなとは思う。そして Second amendment を尊ぶ人々の振る舞いに article 9 を尊びがちな自分が向ける視線は、湧き上がるアメリカってヘンな国だよなという印象の出処を端的にあらわしている気がする。

などと疲弊したあと Barak および Michell Obama の昔のスピーチをみるとなんだかすごくキラキラしていて, 2008 年の選挙はきっともっともっと盛り上がって楽しかったのだろうなと思いを馳せる。そんなキラキラスピーチの原稿を書いたとおもわれる元 Obama の speech writer は ハリウッドの screen writer を目指すと職を辞し、今はなぜか政治 podcast をやっている。聞いてみたらずいぶん軽薄でびっくり。失望しつつ、これもアメリカらしさなのかとちょっと思ったりする。

Utility Bills

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引っ越しに伴う電力会社の住所変更を忘れていたので PG&E に電話をしたら、新しい住所がみつからないという。なにかと思い管理人に確認したところ、電気代含む utility fee は家賃とセットで払うらしい(家賃に含まれていはいない)。PG&E ではない電気会社があるのか、それともアパート全体でまとめて払い、徴収を一元化しただけか。

これは電力自由化と関係があるのかとふと思う。むかしむかし旅行でサンフランシスコのホテルにとまったとき、電力自由化の煽りをうけ停電しまくりでごめんなさい、と張り紙がしてあったのを思い出す。それが Enron の仕業だったと知ったのは随分後のことだった。

前は家賃と電気代とその他の utility を別々に払っていた。それを一撃で払えるようになったのは便利ではある。一方で引っ越すたびに業者が変わるめんどくささもある。ゴミの回収が民間業者なのは、分別にうるさくないのが便利。ただ utility fee がかかるのと、ただしく処理されているのが若干疑わしいのは欠点。

Trails

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引っ越しにともなう懸念のひとつは自転車通勤体験が悪くなることだった。まえのアパートは Stevens Creek Trail という遊歩道/自転車道から五分くらいの距離にあり、これを走ると通勤自動車ラッシュの中を自転車で並走したり高速道路の出入り口で怖い思いをすることなく会社まで走れた。眺めも良かった。

引っ越しに伴い trail ともお別れか・・・と思って調べたら、実は別の trail を走れることがわかった。前よりも入り口までの距離は遠いし眺めも大してよくない。でも高速道路の入り口は回避できる。めでたい。

Mountain View 市は環境保全や景観維持に厳しく Google などが申し出た敷地拡大などをむげなく断ったりと自分からすると感じのわるい相手だけれど、整備された trails をみると we get what we pay な面もあるな、と思うのだった。

でもまあ Stevens Creek Trail の通勤がなくなるのは寂しい。仕事がうまくいかなかった帰り道も、夕日を背後にそびえ立つ NASA の巨大建築物と周囲の林を横目に土手を走る開放感に救われた。そういう見晴らしはもうない。

Moving

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隣町に引っ越した。

引越し屋は地元の小さいところを選んだ。Yelp のレビューが好評だったため。費用はチップ込みで $700 弱。まったく安くないが、そのぶん仕事は速やかだったし値段も明朗会計(時間給+ダンボール代)かつ見積もり未満だったから文句はない。IKEA ベッドの分解と再組み立て、食器類の梱包が特に助かった。これらを自分でやるのはしんどい。逆に一人暮らしで食器も少なくベッドもマットレスを直に床に置いている身軽な暮らしなら自力で引っ越せるだろうね。費用も $100-200 くらいで済みそう。軽トラ、ダンボール、助けを求めた友のメシ代。

地元企業にたのむとグローバルブラック企業の下僕みたいな疲弊した顔の誰かではなく気のいいジモピーがやってくる。資本社会の搾取構造を直視しなくて済むのは精神衛生によい。笑顔がタダでないのは健全な気がする。精神衛生という贅沢を、いつもできるわけではないけれど。

今回はすぐ近く、隣町への引っ越しだった。州をまたいで引っ越す苦労を想像するとやや気が滅入る。サブカルチャーから判断するにロードトリップをするのがアメリカ標準。猫はどうやって連れて行くのだろうなあ。彼らにロードトリップは荷が重かろう。ちょっと検索すると専用の業者がいくつか見つかる。そういう人たちに頼むのだろうか。結局は誰かと旅するほかない。


荷造りはカネの力でラクをした一方、退出時の現状復帰チェックに向けた掃除には苦労した。一日かけてあちこち掃除したものの、猫の引き裂いたカーペットと日々の調理でベトついたキッチンまわりは追加の費用負担となりそう。月々払っているネコ代  $50x2 は一体何のためだったのか。犬はともかく猫は何のサービスもうけていないのに・・・。

壁の画鋲跡などは何も言われなかった。事前に手渡された退出時清掃ガイドには画鋲跡をパテで埋めろとあり、それに従った甲斐があった。この caulk というやつは便利だね。壁に釘や鋲を打つ不安が薄らいだ。

チェックを終えた管理人に「なかなか住心地のいいアパートでした」と伝えたら「ありがとう、できれば Yelp にレビューを書いてね」との返事。このあたりは Yelp にアパート単位のレビューがある。自分もそれなりに参考にした。好感を示した住人にのみレビューをたのむあたり、スマホアプリのレビュー依頼ダイアログみたいだな。

そういえば地元の引越し屋からは何も頼まれなかった。呑気な人々よ。

差別と差別のあいだのメタファ

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黒人差別/Racial justice の話がいまいちよくわからくて困る。メディアを通じ緊張感が高まっており、勤務先もおまいら racial justice 大事だかんなというのだが、外人から見るとなぜこうもこじらせてしまったのかと困惑する。こういうのとか。ベイエリアはアフリカ系の絶対数がすくなく、自分もアメリカリテラシーがない。だから白人が黒人差別をする感覚がピンとこない。差別しなきゃいいじゃん、それよか銃やめようぜ、と脊髄反射してしまう。日本にも韓国人差別などがあるけれどおおむね頭のおかしい人のやることだし、どちらかというとイクゾフォビア、未知/異質さへの恐怖だと理解している。黒人差別はもっと偏見がくっきりしており、根深く見える。

このあいだ法事で親戚の集まりに顔を出したあと、ふと女性差別は黒人差別に似たところがあるのかもなと思い至った。女性差別をする人というのは(自分が黒人や韓国人のことを知らない程度には)女性のことを知らないわけではない。むしろ結婚してたりする。そのうえで偏見を持ち、ひどいことを言ったりしたりするのが女性差別というもの。程度の差はあれこれはちょっと黒人差別と似ていないか。

自分は女性差別ダメ絶対側のリベラルだけれど、自分の中に unconcious な偏見があるのはわかる。今までの社会生活を通じ染み付いてきた偏見だ。無意識な偏見はいくらリベラルぶってもふとした拍子に顔を出し embarrassed な思いをする。差別しなきゃいいじゃん、と言われるといやそうなんですけどすみませんね・・・・と語尾が濁る。社会全体でもこれを正すのが手強いゴールなのは想像できる。

アメリカの黒人差別も、ある面ではそういうものなのだろう。時間をかけて積み上がった偏見があって、偏見に reinforce された差別的現実があって、差別する側は無闇に entitled で、被差別側は stigmatized になり、恐れが武器を握らせて、それが更に事態をこじらせて。

Racial justice 課題図書の一つである Between the World and Me のハイコンテクストかつバイオレントな文章は、正直けっこう読むのがきつい。でも上野千鶴子や小倉千加子みたいなものと思えば腑に落ちる。そういうスタイルが望まれる話題なのだな。

無知なりに少しは racial justice と relate できた気がした。

ひげそりスタートアップ

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少し前から Harry's のひげそりをつかっている。ATP のスポンサーで知った。小奇麗なパッケージに包まれた小奇麗な髭剃りが届く通販。まあまあ満足。

このあいだ Dollar Shave Club というひげそり通販業者が大手髭剃り業者に $1B で買収されるニュースがあり、Harry's に同業他社があったことを知る。たぶん Harry's  は DSC のおしゃれバージョンなのだろうな。ひげそりを通販するだけのスタートアップがそんな大仰な話になるとは信じがたいけれど・・・。

似たようなコモディティスタートアップは何かできないか、と考えて真っ先に思いつくのはマットレス。自分は値段から Tuft&Needle で買ったけれど、CM などで名前を聞くのは Casper. でも Casper, そんなに安くない気がする。

何を買うにもちょっと探せばスタートアップが見つかるのをみて、アメリカ景気いいなと思うのだった。

適応

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異国ぐらしに適応してきたと思うことがたまにある。二年も住んでいるのだから適応してしかるべきなのだが、仕事ばかりしてると思ったほど適応しない。たまに、なのはそのため。

最近の適応モーメントは、何かの予約で躊躇なく電話を使った自分に気づいた時。英語がうまくなったわけではなく、オンライン窓口の信頼のおけなさに見切りをつけた。多くの small business がウェブサイトを持ち form なりメールなりの窓口を設けている。が、だいたいちゃんと機能しない。反応が遅かったり無視されたり。

一方で電話は確実に通じる。しかも反応がリアルタイム。ちょうべんり。英語は未だにひどく通じないが、一方で自分は客だし、相手も(地元の企業の場合は特に)英語のできない相手に慣れている。

引っ越してきたばかりの頃は電話が嫌なばかりに頑張ってオンラインの窓口を探した。さらに昔を振り返ると、10年ぐらい前に海外出張でホテルの領収書をもらい忘れ、コピーを送ってもらうべく電話をしろと上司に催促されたものの腰が引けたまま数日放置、最後に嫌々電話をしたあとは心底疲弊したのを思い出す。遠くに来たような、あまり来られてないような・・・

予約や苦情など oneshot な電話ですぱっと話が通じることは滅多になく、自分の発音のひどさを思い知る。他方で話が通じなかった同僚にはだんだんと通じるようなっている。これは相手が自分のひどさに適応したのだろう。適応されてしまうのは語学的フィードバックとしては台無しだけれど仕事の生産性は上がる。週に一回ビデオ会議をするだけだとこうはいかない。引っ越してきた甲斐があったモーメント。