Spinach Forest

音声コンテンツ中毒

家族帰省中につき家に独り身なので家事雑用食事などをしつつ無限に音声コンテンツ (podcast, audible) を消化していたが、doomscroll に似たダメさがあることに気づいた。アタマのスペースが他人の言葉に埋められ、思考停止してしまう。

20 世紀によく見られたつけっぱなしのテレビに似ているが、一面ではよりたちが悪い。テレビ(地上波)というのは必ずしも自分の関心との相関が高くないので、無視しやすいし、大半の時間は無視されている。一方でインターネットの音声コンテンツは自分が楽しめそうなものをより好んで選ぶから、退屈さが低い。なので無視しないし、できない。

イヤホンで聞くと、また一層よくない。コンテンツが常に環境音に勝る。なおさら無視できないし、外界の刺激から切り離される。

あるとき、イヤホンをつけた瞬間にピタリと考え事が止まって脳がコンテンツ待ち状態に入ったのに気づいた。何も聞く前からすでに脳死している。

また別のある日、聞いていた podcast でホストの一人が「壊れたイヤホンを修理に出したら返ってくるまで一週間かかって、その間はまったく miserable だった」と愚痴ていた。依存じゃん。そして自分も一緒じゃん。

そこでまずイヤホンをやめて小型スピーカーから音を出してみた。生活音が混じって生活を覆い隠す感じがなくなったのはいいが、話の内容が気になるのに聞こえにくいのはそれはそれでストレス。気になるコンテンツが流れている時点で負けているのかもしれない。

そこで音声コンテンツ・・・というか podcast および audible をやめて音楽をスピーカーから流してみた。これは、いいんじゃないか。生活音でかき消されても気にならないし、脳の占有率も低い。端的にいうと podcast を聞きながらの考え事はむずかしいが、音楽を聞きながらはさほど問題ない。歌詞が気になることはゼロじゃないけれど、人の話よりは桁違いに平和。しかも音量を絞ることで attention budget を減らせるのである!べんりー。

ただ年をとったせいか「好きな音楽」というものが枯渇しているので、そこはなんとかしたい。もっとも家族が帰ってきたあと音楽をかける時間があるのかは不明。暇さ固有の問題なのかもしれない。