最近聞いた本
Chip War by Chris Miller
半導体産業の歴史。
軍事側の進捗の話が多いのは民間人である自分には面白い。たとえばイラン・イラク戦争でのミサイル精度はシリコンの進歩によるものだったという話など。日本もでてくるが、隆盛ののち消えていく。めちゃアメリカ視点なので、日本の半導体談義にあるような細々した話はない。それは腹立たしい気もするが、負けるというのはそうことなのだろう。
あとベイエリアすなわち「シリコンバレー」の地名が全編を通じてずーと出てくるので、住んでる人的には地元ストーリーとして読める面白さがある。え、Fairchild って Mountain View にあったの? みたいな。
最近なにかの podcast で、 OpenAI からのタレントの離反は半導体史初期の Fairchild からの離反に似ているという指摘があった。そんな歴史の一幕を振り返るのにも良い。昔から一山当ててリッチになりたい人々の土地だった。
Nickel and Dimed by Barbara Ehrenreich
いわゆるワーキング・プアの本 (The Working Poor という本は別にある)。ジャーナリストの著者が、取材のために本業を隠し、低賃金労働で働きながら暮らしてみる話。住居を含む生活も、その仕事からの収入だけで賄おうとする。
・・・が、賄えず何度もゲームオーバーになる。暮らせねーじゃねーか、というのが趣旨。
20 年以上前に出版された本で、以降アメリカの貧困が改善されたという話は特に聞かないので、今日どうなっているのかには興味がある。特にインターネットの普及は貧困生活者にどういう影響を与えたのだろうか。Gig Economy とか。必ずしもいい影響があったとは思わないが、何らかの影響はあるはずじゃん?
100 Best Books of the 21st Century から選んでみた一冊。
Dopamine Nation by Dr. Anna Lembke
定期的に読んでしまう依存症関係の本。著者は依存症クリニックの医師で、様々な依存症エピソードが紹介されている。第一弾からしていきなり自作の自慰機械をやめられない男の話。ドギツい。意外にもインターネットや電話の話はない。
最終的には依存症脱出のガイドみたいので話が締めくくられている。方針としては Alcoholics Anonymous (AA) みたいな方向性を推しており、ああいうのってカルトというわけでもないのだなと感心を新たにする。
依存症の話が気になる人には面白い一冊。
The Anxious Generation by Jonathan Haidt
子供にスマホ持たせんな、持たせるとしてもソーシャルメディアのアカウントを作らせんな、学校はスマホ禁止しろ、という本。大人は子供のオフラインライフには過干渉なくせにオンラインライフにゼロ干渉なのはおかしいだろう、そこの釣り合いを見直せと説く。そうですねーという感想。
めちゃ売れているらしく、ついでに California では学校から電話が ban されるらしい。まあ学校ではいらねーだろ電話。School Shooting などの emergency のために持たせたい親が多いとリンク先の記事にはあるが、銃撃されてる子供を電話で助けられるんですかね・・・?
The Ultimate Retirement Guide for 50+ by Suze Orman
年金とか保険なーんもわかってねーな、ということで。なーんにもわかってない身で聞くと informative であった。ただし結構アグレッシブにいろんな金融商品を勧めており、そのへんの妥当性はあまりはっきりしない。たとえば Income Annuity とか Long-Term Care Insurance とかほんとにいるの?(後者はそのうち必要っぽいな・・・)など。
まあ知識ゼロな身として starting point にするのは良い本なのではないだろうか。Audiobook は著者自身が読んでおり、かつ著者は TV personality だったらしく、喋りに謎の力がある。そういう読みの勢いで話題の本質的な退屈さを紛らわせている。反面として関西弁のおばちゃんステレオタイプみたいな喧しさは否めないが。
Hyperfocus by Chris Bailey
定期自己啓発生産性図書。集中力ライフハック集という風情で割と良かった。Cal Newport のような micro-celebrity-cult を志向せず(きらいじゃないですけどね)実用的なのがいい。
我ながらろくでもない本しか読んでないねー・・・ろくでもなくない本は、だいたい聞き始めたあと挫折しています。