Spinach Forest

プログラマたちの業務外テック活動

同僚をみていると、仕事の外でプログラミングをしている人は少ないなと思う。ランチの時も、仕事以外のテクニカルな話をすることはほとんどない。今に限った話ではなく、もう 10 年くらいそんなかんじである。趣味プログラミングをしている人もいるにはいる。でも少ない。

ではどんな趣味があるかというと、観測した範囲では...

つまり、世の中に趣味はいっぱいある。

ただ企業開催の勉強会・ネットワークイベントみたいのにいくとそれはそれで人が沢山きている(COVID 以降はわからないが、昔はきていた)ので、課外活動にテックをしている人は、どこかにはいるのだと思う。勤務先社内でも、チームメイトとそういう話をする機会はないにせよ、チャットやメーリングリストのようなオンライン社内コミュニティは一定程度活発なので、いることはいるのだろう。密度が低いだけで。

あと自分は製品開発部門にいるからテック密度が低い面はあるかもしれない。インフラ部門などテック密度が高い部門では、また様相が違うこともあろう。

さて、そうしたテック密度低めな製品開発部門の同僚諸氏は、どうやってテクノロジの進化にキャッチアップしているのだろうか・・・という疑問はさておき、入社に際しては知識や技術が必要ということになっているので、それらのスキルはどのように獲得されたのだろうか。

別の言い方をすると、大企業にいる人たちというのは学生のうちにきちんと勉強したり仕事できちんと経験を積んで入社してくるのが最近は一般的であるように見える。趣味のプログラミング好きが高じて・・・というパターンは、自分の周りに限ると多数派には見えない。

では入社したあとはどのようにテクノロジーへのキャッチアップを続けるのだろうか・・・というと、多くの人はそんなに続けていないのではなかろうか。というのも、仕事で開発しているシステムやアプリが突然なくなったりしない限り、テクノロジのスタックがガラリと入れ替わることはそんなに多くないからである。じりじりと部分的に入れ替わることはあるが、そういうのは仕事の範囲でキャッチアップできる。

そして大企業におけるキャリアアップというのはふつう出世であり、出世に必要なのは目の前の仕事で成果を出すことであって、新しいテクノロジにキャッチアップすることではない。なので、新しいテクノロジについていく動機は薄い。異動するにせよ、経験を活かせる隣接領域を狙うのが一般的。

という視点でみると、趣味としてテクノロジを追求している人はかならずしも多くないが、出世を目指しガツガツ仕事をしている人はそこそこ多い。夜遅くまで働く人々。そうやってガツガツ働けば成果は増えて、出世の足しになる。別の言い方をすると仕事が趣味の人はそこそこいる。プログラミングが趣味な人の中にも、仕事で多めにプログラミングしている人はぼちぼちいるのだろう。

なにより会社という空間では仕事で成果を出すと良いことが多い。仕事で成果をだし出世すれば裁量が増す。新しいテクノロジを使う新しいプロジェクトに参加する機会も増える。結果として趣味の時間を溶かさなくても仕事を通じて新しいテクノロジにキャッチアップできる、ことが割とある。(仕事の成果のために趣味の時間を溶かしているかもしれないが・・・)

あるとき Android プログラマなはずの隣の同僚が、「TypeScript わかる?なんか次のプロジェクトで使わないといかんのだけど Java みたいなもんだよね?」と言い出し、思わず「ちげーよ!てかなにそれ代わってくれよ Java 飽きたよ!」と叫びそうになった。彼は別に超過労働はしてないが、優秀なチームのエース。面白い仕事は頼りになる人に寄ってくる。(なおその仕事は TypeScript 以前に謎の社内 DSL を使える必要があり、自分はそれを一ミリも知らないのでお呼びではないのだった。)

つまり、雇われている会社が成長していて新しい仕事の機会がたくさんあるなら、仕事をがんばり出世してそれらの新しい仕事を手に入れる方が、業務外活動でちまちまキャッチアップするより割が良いかもしれない。稼ぎも増えるし。

でももし勤務先の景気がわるくなるなどの理由で仕事を通じた進展が期待できなくなったらどうしよう。というと、このときはじめて業務外のキャッチアップに時間を割く・・・人もいるかもしれないが、実際のところはよくわからない。レガシー人材として眼の前のレガシー仕事を続ける人も多いのではないかと思う。プログラミングの仕事はこの四半世紀くらいずっと拡大を続けているので、ひどくついていない場合を除けばなにかしら仕事はある。多少のキャッチアップが必要とはいえ、大きな飛躍は必須でない。


課外活動でプログラミングなどテック活動を続けている、自分の周りでは見かけないハッスルな人々は誰なのだろうか。

こういう人々は、世の中には沢山いるように見える。しかし自分の周りにはいない。なぜだろうか。


といった身近な観測をふまえ我々プログラマはどう「すべき」なのか・・・なんてのは人それぞれなのだから、自分で考えればいい。

それよりも、自分は身近な観測を書いてみたかった。この手の議論は「べき」の話ばかり目について世の中の現実がどのように見えるのかの談話が少ない。それが気に入らない。みなさまから見えるプログラマたちの業務外テック活動はどんなものかもどこかに書いて教えてね。