Audible はクレジットが降ってくるのでつい新刊を探してしまうが、過去に聞いたやつを聞き返してもいいかもなと思い立ち Bookshelf のページを眺める試み。順不同。
子育て:
人間関係:
精神衛生:
会社員:
ソフトウェア開発自己啓発:
過去ログを眺めていて、読み直したい本と良かった本は別だよなと思う。読み直したいのは、自分の苦手分野(人間関係、子育て、精神衛生、真面目に働く)に対し具体的に actionable 要素があるものと、ある種の景気づけ (Cal Newport, Edgar Schein). 面白い本というのは、自己啓発だけでももうちょっと色々ある。ただ actionable な要素のない self help はあんまし意味ないので、これらはいい本といえばいい本なのでしょう。
ただ自分と苦手分野のかぶらない人には意味なしでもある。仕事真面目にやるとか、得意な人は得意だからねえ。自分も昔は一定程度得意だった気がするんだけど・・・。
Embrace the Suck: The Navy SEAL Way to an Extraordinary Life: Gleeson, Brent: 9780306846335: Amazon.com: Books
イヤな仕事があるときに著しくやる気と生産性が下がってしまうのをなんとかしたいなあと思い、そういえば "resilience 本" という自己啓発ジャンルがあったと思い出し物色して Audible で聞いた。同ジャンルは Emotional Agility 以来。なお "Embrace the Suck" は昔からある軍事ジャーゴンらしい。
自己啓発本としては平凡で、つまり正しい価値観によって自分のゴールをはっきりさせ、あとはモダン根性論(すなわち Mindset, Grit, Willpower など) でがんばっていこうな、というのが概の主張。軍人 meets モダン根性論という面白さはあるが、扱いは表面的で、わりとどうでもよかった。
この本の面白いところは随所に登場する SEAL エピソード。入隊試験、訓練からイラクやアフガンでの体験まで、実体験に基づく Suck Stories が山ほど登場。軍人めちゃ suck を embrace しててすごい説得力だな・・・となる。
つまりこの本は「軍人とか警官とかが書いた自己啓発本」というジャンル。あまり役には立たないが読み物として面白い。以前読んだ同ジャンルの Never Split the Difference: Negotiating As If Your Life Depended On It では、FBI の元人質交渉人が交渉について書いている。これも個人的には Crucial Conversations の方がよく書けていると思ったが手に汗握る人質交渉エピソードが面白く、読み物としては悪くなかった。
そういう上から目線のレビューはさておいた感想: SEAL 隊員にあって自分にないもの(のうち根性だして働くのに必要なもの)は、強い価値基準に基いた使命感(例: 母国のためなら死ねるという愛国心) と、そうした価値観をガチで reinforce する組織とチーム(例: 海軍、部隊、戦友)だなと思う。
自分には、そのどちらもない。幸い命がけの仕事はしてないので SEAL みたいなエクストリームである必要は感じないけれど、それでも少しはこういうのあった方が良い。
あとは suck の自明さも違うね。戦場が suck な事実に疑問の余地はないわけで、まあ embrace するしかないよなあという。職場の suck というのは「間違って」いて、なんらかの「正しいやり方」によって軽減されるべきと思ってしまうところが腹立たしさに繋がっている。これらを戦場の suck のように embrace するというのも、もしかしたら必要なのかもしれない。自分にとって out-of-control なのは同じだからね。